(羽田 真代:在韓ビジネスライター)
ベトナム政府がネットフリックスに対し、韓国の連続ドラマ「シスターズ(Little Women)」のベトナム国内での配信停止を要請した。ベトナム国営メディアが2022年10月5日に報じた。
「シスターズ」の韓国の原題は『若草物語』だ。アメリカ文学の『若草物語』の姉妹たちが、現代の韓国にいたらと着想したことから生まれた作品だという。
ネットフリックスの公式サイトに掲載されているドラマの紹介には、「貧しい家庭に生まれながらも仲むつまじく生きてきた3姉妹。そんな彼女たちはやがて、富と権力をもつ者たちをめぐる陰謀に巻き込まれていく」と書かれている。
◎ネットフリックス「シスターズ」https://www.netflix.com/jp/title/81610895
全12話のこのドラマには、大ヒットドラマ「トッケビ〜君がくれた愛しい日々~」のヒロイン役を務めた金高銀(キム・ゴウン)や、日本の人気ドラマ「深夜食堂」の韓国版に出演した南志鉉(ナム・ヒジョン)など有名俳優が起用されている。
そのこともあってか、世界のネットフリックス・テレビショー部門では6位を記録。2022年9月30日から翌月5日まで、ベトナムのネットフリックス・ランキングでも1位だった。日本でもネットフリックス・日本テレビ部門で2週連続1位を記録している。
【参考記事】
●韓ドラ「シスターズ」が2週連続Netflix日本TV部門1位 考察合戦で盛り上がり(https://news.yahoo.co.jp/articles/c55cff19649d84a24b5319cf3efeaa448767f5ca)
ベトナム側が問題視したのは3話と8話だ。
ベトナム戦争に参戦した軍人で、私組織のチョンラン会を設立したウォン・ギソン将軍が「ベトナム戦争で武功を立てた」と言ったこと、「韓国の軍人はベトコン(南ベトナム解放民族戦線)の兵士20人を殺せる。ある軍人は10人も殺した」「韓国の軍人はベトナム戦争の英雄だ」と発言したことだった。
韓国の視聴者からは、「悪役に見えるようにわざと描かれた人物の醜悪な一面のひとつに過ぎない」とドラマを擁護する声もあったが、ベトナム視聴者らはこれにも反発した。
騒動を受けて、ドラマの制作会社であるスタジオ・ドラゴンの関係者は2022年10月7日に「ドラマ『シスターズ』に描かれた一部の設定と関連した問題点について、今後のコンテンツ制作では社会的、文化的な感受性を考慮するよう、より注意していく」と公式謝罪した。
韓国ドラマが他国から批判を受けた例は今回が初めてではない。最近では「ナルコの神」が南アメリカにあるスリナム共和国を否定的な見方で扱ったとし、抗議を受けたばかりだ。
日本でも在日韓国人の受難の歴史を描いた「パチンコ」が歴史歪曲だとして問題になったし、世界的にヒットした「イカゲーム」はライアーゲームやカイジ、神様の言うとおりなど、多くの日本映画や漫画をパクったとして批判されてもいる。
そんな中、韓国メディアの韓国日報から衝撃的な記事が出た。
「[単独]“ベトナム人虐殺賠償訴訟阻止方案” を密かに調べた韓国政府(2022.10.07)」というタイトルの記事だ。