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(福島 香織:ジャーナリスト)

 党大会まで10日に迫った中国で、注目を浴びている裁判がある。

 マカオの大手カジノ・ジャンケット(カジノ仲介業)企業、サンシティ・グループ(太陽城集団)の創始者、周焯華(アルビン・チャウ)らに対する裁判だ。周焯華は越境カジノ開設、マネーロンダリング(資金洗浄)などの罪で起訴されていた。裁判は8月に始まり、このほど周焯華以外の35人の被告に対し判決が出た。

 浙江省温州市中級人民法院によると、それぞれ懲役7年6カ月~1年3カ月の判決が言い渡された。主犯の周焯華の裁判はマカオの法院で行われ結審しているはずだが、判決はまだ出ていない。

中国人客を海外カジノ、オンラインカジノに誘導

 環球時報によれば、サンシティは2007年に創設されて以降、マカオのカジノ業界でVIPルームジャンケット業(VIPルームの上客への貸し付け、回収を含めたサービス業務)を展開、2015年以降はフィリピンなどで多くのオンラインカジノサイトを開設してきた。

 判決によれば、周焯華らの犯罪は、巨額の違法利益、高額手数料と配当を用いて、エージェントを使い大勢の中国人をサンシティの運営するカジノやオンラインカジノプラットフォームに誘導したこと、中国国内に資産管理会社をつくってカジノ代理店とし、賭博クレジット(コイン)やサービスの提供、ギャンブルの負債回収などの業務を行ったこと、地下銀行などを利用し客の中国国内資産の接収、ギャンブルの決済などを行ったこと、中国国内に設立した企業によって中国人を海外のカジノに送迎するなどのサービスを行い、組織的に中国人を海外カジノやオンライン越境カジノに参加させたこと、などがある。