団体の活動を止めさせるには破防法適用しかないが……
では、統一教会に宗教法人法第81条が適用されることがあるのか。あるいは、裁判所への請求は可能なのか。
統一教会をめぐっては、いわゆる霊感商法や資金集め、布教過程などを、違法とする司法判断が積み重なっていて、いまもあとを絶たない。だが、こうしたことは個人と教団とのトラブルであって、「著しく公共の福祉を害する」とまでいえるのか疑問が残る。
ここからは私見だが、統一教会をめぐる問題に対応する政府の「旧統一教会問題関係省庁連絡会議」は、今月5日から30日までを「相談集中強化期間」として、フリーダイヤルの合同電話相談窓口を設けている。初日には155件の相談が寄せられたという。ここで、ようやくにして政府としての被害実態を把握したところで、「著しく公共の福祉を害する」として、宗教法人としての解散の請求を行う可能性はある。あるいは、同条第1項第2号には「第2条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと」も事由に記されている。
ただ、その場合も裁判所がどう判断するかはまた別の話だ。仮に裁判所が解散を命じたとしても、法人格を失うだけで、任意の宗教団体として統一教会の組織と活動はそのままだ。
そうすると、税制上の優遇を得られなくなっただけに、より資金集めに重点をおいて、布教活動や高額献金に奔走する可能性も否定できない。それも社会批判を避けるように、正体を隠し、いわばより深いところにもぐって活動を続けることも考えられる。
宗教団体であろうと、任意団体であろうと、団体そのものの活動をやめさせる、解散させる法律もある。それが「破壊活動防止法」(破防法)だ。
同法に基づく解散指定を請求して認められると、その団体は強制的に解散させられ、構成員は監視下に置かれる。「団体の死刑」とも呼ばれる。ただし、これは「暴力主義的破壊活動を行った団体」に対して適用される措置だ。統一教会が暴力主義的破壊活動まで行っているとは言い難い。