クーデターを主導した隆明理事長と、彼の長男の俊明氏(現・亀田総合病院長)への反発から神経内科部長、医療安全室長、総合内科部長、新生児科部長、脳神経外科部長らの幹部医師らが続々退職。中堅医師や看護師の退職も後を絶たないのだ。

 そればかりではない。最近とくに深刻なのが看護師の退職だ。今春、グループの看護師数は前年度比15パーセントも減少した。そしてグループの看護師養成大学である亀田医療大学も、深刻な学生不足に陥っている。

看護師の大量退職に、医療大の定員割れ

 亀田の元看護士が言う。

「看護師の多くは亀田医療大学の卒業生で、皆、“患者様のために働く”という亀田イズムの信奉者です。ところが隆明親子が支配するようになってからは、患者様のことは二の次、三の次で、“手術件数を増やして収益を上げろ”とばかり言われるようになった。収益至上主義の隆明親子のやり方に嫌気がさして、看護師はどんどん辞めています。これを受けて、亀田医療大学を受験しようという学生も大幅に減っているのです」

 亀田医療大学は2012年に開校し、2019年には大学院もできた。開校以来、ほぼ毎年、募集定員まで入学者がいたが、今春は、80人の定員に対し応募者はわずか55人と大きく定員割れした。

 ただでさえ看護師が足りないところに、この入学者の大幅減。いまの一年生が卒業する4年後以降、亀田の看護師不足はさらに深刻化するのは必至だ。

 別の元看護師は「一度、応募者全員が入学する“全入大学”になると、低偏差値のいわゆる“Fランク大学”とみなされ、看護師志望者に敬遠されるようになる。今年の大幅な定員割れは、今後の亀田の看護師不足に大きく影響する」と話す。