音楽を通じて「貧困・差別・戦争もなくしたい」

──ロサンゼルスに行ってからの具体的な行動プランを教えてください。

YO:まずは、アートに特化した公立学校のドラム科で勉強したいと思っています(すでに合格済み)。そのためには、まずはビザの取得と家探しを進めなければいけません。住めるようになったら、いろんなミュージシャンとセッションやライブ、レコーディングをしたいですね。お誘いがあるアメリカのTV番組への出演や、有名ミュージシャンとの作品づくりも実現させていきたいです。そして英語で歌詞を書いてオリジナルのアルバムも作りたいと思っています。いま、たくさんのアイディアを溜めているところです。

父:これまでも彼女自身で作詞作曲した曲が数曲あるのですが、今後は世界に向けて英語でも、ということですね。

──今後の音楽活動ですが、ドラム以外にもチャレンジしていきたいと話していますが。

YO:今はドラマーとして活動していますけど、将来的には大きな意味でのアーティストという形で活動したいなと思っています。ミュージシャンとしてはギターやベースももっとやりたいですし、ボーカル、作詞、作曲、そしてレコーディングも自分で出来たらいいなと思います。MV(ミュージックビデオ)も自分で編集したいですね。

 そして、自分の音楽を通じて世界の貧困や差別、戦争といったいろんな問題を少しでもなくしていきたいと思っています。

──社会的な貢献にもつなげていきたいということですね。

YO:あと、自分が挑戦する姿を通じて、今後、日本から世界に挑戦する私のような10代の人たちが少しでも楽に挑戦できるような道筋を作っていければと思っています。

父:私たちのように決して裕福ではない、エリートでもない一家の子どもが世界に向けてチャレンジしようとしても、これまではなかなか難しい現状があったような気がします。私たちが挑戦することで、皆さんに勇気を与えることができればと思っています。僕らの挑戦が10年後のエンタメを変えるきっかけになるかもしれないし、若い才能の(海外進出の)突破口になればと願っています。

──移住後の当面の目標、夢は何でしょうか。

YO:なんといってもレッド・ツェッペリンのメンバーとセッションすることです。私の映像を見てコメントをくれたボーカルのロバート・プラントさんにもお礼を言いたいですね。

 それと、NFLスーパーボウルのハーフタイムショーで、メインでなくてもいいんですけど演奏することです。前回のハーフタイムショーで、グラミー賞を何度も受賞しているアンダーソン・パークさんというドラマー(シンガーソングライター、音楽プロデューサー、マルチプレイヤー)がバックミュージシャンとして演奏していました。メインではないのに存在感があり、本当にカッコよかったです。世界中が注目するこの舞台に、自分もいつか出たいなと、強く思いました。

 アンダーソン・パークさんは私のドラムを以前から評価してくれていて、3月にラスベガスで会うこともできました。彼とのセッションも約束したので早く叶えたいです。

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 1時間あまりのインタビューの中で、彼女は音楽への熱い思い、世界への挑戦意欲、社会への貢献願望を自分自身の言葉で素直に語った。ドラム前での撮影をお願いすると、実際にドラムを叩いてくれたのだが、実にエネルギッシュで魂を揺さぶる演奏だった。

 父・章文さんによるとビザ取得や資金面のメドがつけば、早ければ8月後半にはアメリカ移住が可能になる見込みだという。現在、移住後の音楽活動のため「うぶごえ」上でクラウドファンディングを実施中。目標額の500万円はすでに突破し、ストレッチゴールとしてソロアルバム制作費1000万円を目標に掲げている。別途、ともに世界挑戦を目指すスポンサーを募集中だという。

 12歳の少女ドラマーの挑戦に、語学学習のサポートを行っているレアジョブをはじめ、クラファンでも現在300人以上が支援を寄せている。夢の実現に向かって進む若きアーティストの物語は、これからどう展開していくのだろうか。