(小林偉:放送作家・大学講師)
じっくり腰を据えて聴きたい曲は?
「アナログ・レコードがCDの売上を抜いた」・・・なんてニュースが伝えられていますが、音楽ソフト全体の売上は長期的に低迷中。サブスク配信などが主流化している昨今では、多くが“ながら聴き”で、“じっくり腰を据えて音楽を聴く”なんて方は少数派になっているかもしれませんね、残念ながら。
そんな流れに逆行するようで恐縮ですが、今回は「是非とも、じっくりと耳を澄ませて聴いていただきたい曲」というテーマでお話しさせていただこうと思います。“ながら聴き”では、聴き逃してしまいがちで、その大切な一瞬を楽しめないかもしれない・・・そうした曲のご紹介となります。さて、最初はこちら。
●『WOMAN/JOHN LENNON』
「ジョン・レノンの『ウーマン』でしょ? 知ってるよ」という声が聞こえてきそうですが・・・この曲のイントロ部分で、ジョンが何ごとか呟いているのに気づかれていますか? ホントに小さな声ですので、耳を澄ませないと聴き逃してしまうほどなのですが、よ~く聴くと・・・「For the other half of the sky=空のもう半分のために」とジョンは呟いています。
「空のもう半分」とは女性=ウーマンという意味合いでのメッセージだと思いますが、実はコレ、毛沢東(元中国国家主席)の言葉なんだとか。さりげなく、こういうフレーズを入れるところに、ジョンらしさを感じませんか?
ちなみにこの曲は、ジョン生前最後となった「PLAYBOY」誌とのインタビューで「ビートルズ解散後初めて、ビートルズっぽい曲を書こうと思って作った」と語っているだけに、途中のコーラス部分(♪I never meant to cause you sorrow or painの辺り)のハモリが、ビートルズの盟友ポール・マッカートニーのモノマネっぽくなっているのも聴きどころです。