こういう事情にメスを入れず、警備体制の不備だけを是正するだけでいいわけはない。

 警護員やSPなど現場の人の能力に依存するだけでは、今回のような事案はやがてまた繰り返されることになるだろう。

 爆弾テロのようなもっと深刻な大惨事が起こった後では取り返しがつかない。

 やはり今後の日本において、強い捜査権限を有するFBIやSSのような組織は必要だろう。

 少なくとも全国を横断して治安情報を一手に担うような組織の創設を検討すべきではないか。

 ウクライナ戦争を見ても分かるように、ドローンや殺傷兵器が簡単に個人の手に入るようになってきた。

 そうした今、現場の警護員個人の能力に頼るだけでは、もはや治安を維持することはできないだろう。

 あくまで危機の未然防止が大切であり、それには情報の入手がカギを握るのだ。

 強い捜査権限を有する組織、治安情報を一手に入手できる機関、そして、現場が即座に情報共有できる仕組み。

 危機を未然に防止するため、新たな組織の創設を含めた根本的な検討が必要である。

 今回の安倍元総理暗殺は次なる大惨事の前触れと捉えなければならない。

 現場の警備体制の問題に矮小化してはならない。危機管理に「英雄」はいらないことを忘れてはならない。