自国の領土から一歩も出ることがなく、最小限の兵器で戦い続けるウクライナはまさしく「専守防衛」を強いられているということである。
テレビの画面には映らない多くの犠牲者と惨状が存在することを忘れてはならない。
ロシアは著しく劣勢に立った場合には(戦術)核兵器の使用も有りうると、侵攻直後から警告していることもあり、ウクライナに決定的な勝利を持たせるわけにいかない。
露宇戦争は一進一退の様相を繰り返しながら、長期戦になると予測される。
マリウポリの戦いで分かったように、現在焦点のセベロドネツクの趨勢もウクライナが握っているのではなく、米欧の支援に左右される。
その間の戦闘でウクライナの国土は荒廃し、国民は多大の犠牲を強いられる。
国民の犠牲と国土の荒廃をもたらす専守防衛
相手から攻撃されるまではこちらが先に攻撃してはならない、反撃も相手の攻撃前進を止める程度である。
こうした戦略守勢の状況は、日本の専守防衛と同様とは言わないが、かなり類似している。
戦争をしたくない、するにしても相手を刺激しないために最小限の防衛力しか保有しないことが、いかに大きな犠牲を伴うことであるかが分かる。
自由・民主義国家は人道・人権や法の支配を普遍的な価値とみなしており、普段から尊重し遵守しており、戦時においても戦争法規に則り行動する。
しかし人権や法の支配をさほど尊重しない全体主義や共産主義国家が戦時法規などを遵守するとは到底思えない。
現に展開されているウクライナ戦争で、ロシアの戦争犯罪が日々報道され、全体で何千・何万件に上るか想像すらできない。