マクドナルドの店舗で店員と握手するボリス・エリツィン大統領(当時、1990年、写真:ロイター/アフロ)

 2月24日に始まったロシアによるウクライナへの特別軍事作戦から3か月以上経った。

 モスクワでの生活は完全に落ち着いているわけではないが、多くの国民は現在の生活環境が今後どうなるのか、改めて考え直す余裕を持ち始めた。

 ロシアで長年活動していた外資系企業は3月初めあたりから一時的に事業を停止、あるいはロシアからの完全な撤退を宣言した。

 それからさらに3か月が経過したが、今後の展望が開けないとあって、これまで事業を凍結していた外資系企業は、次々とロシアにおける今後の事業方針を発表し始めた。

 その中でも特に注目を集めたのはマクドナルドの行方である。

 マクドナルドは3月8日にロシアにおけるすべての店舗の一時的休止を発表、翌週14日にはロシア国内の店舗は一部のフランチャイズ店舗以外はクローズした。

 マクドナルドは全ロシアで850店舗を運営し、そのうち132店舗は3つのフランチャイジーが経営するフランチャイズ店舗である。

 ロシアのマクドナルドで働いている従業員総数は6.2万人、会社の発表によると一時休止期間でも従業員全員に月給が支払われたという。

 ロシア政府は外資系企業によるロシア撤退発表が相次ぎ始めた時に、それらの企業が事業を継続し、従業員の雇用を確保することを求め、対応策を打ち出した。

 場合によっては外資系企業の資産を接収することも辞さないことを仄めかした。