「本の灯台」施設(現在開発機関より補助金申請中、「成長とキャリア図書館」提供)

「本はチャンスを平等にする」

By Nadezhda Orlova
Director of Saint-Petersburg “Library of Career and Growth”

 2021年11月、日本の月刊誌「子供の科学」(誠文堂新光社刊)のロシア語版が初めてモスクワで出版された。

 日本で100年近く子供たちに興味深い科学の情報を提供してきたこの雑誌は、ロシアの児童教育関係者をはじめ、書籍業界でも高く評価されている。

 筆者は、この出版のお手伝いをしていたおかげでロシア国内で展開される面白い社会プロジェクトに出会った。

 今回はあまり話題にならない、ロシア国内の社会活動事例について紹介したい。

 それは、筆者が「子供の科学」誌のプロモーションの際に知り合ったサンクトペテルブルグ市にあるちょっと特別な図書館である「成長とキャリアの図書館」、ナデジュダ・オルローバー館長の活動である。

 ナデジュダ館長が通常の図書館のパラダイムを変えて作った「成長とキャリアの図書館」は、サンクトペテルブルグ市の知的な人気スペースになっている。

 さらに同館長は、「田舎の図書館へ最新書籍を」というボランティアの社会的プロジェクトを立ち上げたのである。

 このプロジェクトのきっかけは、2020年12月に偶然にレニングラード州(サンクトペテルブルグ市の周りを囲む州)の田舎にある数カ所の図書館の状況をナデジュダ氏が調べたことだった。

 新しい書籍が全く入っていないことにショックを受けたのだ。

 サンクトペテルブルグ市の区ごとの図書館の予算は年間300万ルーブル(約450万円)であり、これで十分であると考えていた。

 しかし、地方に行けば行くほどその予算は縮小され、州とその付近の田舎の図書館にはたった100万ルーブル(約150万円)しか割り当てられないことが分かった。