新型コロナウイルス感染症のパンデミックから1年が過ぎようとしている。パンデミックはロシア経済のあらゆるセクターに大きな影響を及ぼした。
その中には、IT業界のようにピンチをチャンスに変えた分野もあれば、飲食業、観光業のように生き残ることが極めて困難な分野もあった。
世界の株式市場は、2020年後半から2021年初にかけて、ほとんどの主要な取引市場は「バブル」あるいは「ややバブル」を思わせる株価の急上昇を記録している。
こうした中、ロシアの株式市場はどのような動きをしたのか。実は興味深い現象が起きていたのだ。
ロシア株式市場は、ハイベータ*1市場であり、パンデミックに伴う景気後退リスクを世界の他市場に比べてより大きく反映する傾向がある。
ところが、2020年中のロシア株式の代表的な指数であるMOEX指数(ルーブル建、以前のMICEX指数)を見ると、+6.9%、RTS指数(ドル建)は-13.1%と比較的小幅の変動に収まっていた。
*1=ベータ値とは市場全体、あるいは代表的な株価指数に対する株価の感応度。ハイベータとはその値が高いことを示し、市場全体より大きな動きをしていること。
ただし、個別銘柄のパフォーマンスを見ると、パンデミックの影響度合いを反映してインデックスを上回る大きな変動を示した銘柄が結構目立つ。
そこで、MOEX指数構成銘柄の中からベストとワーストパフォーマンスの銘柄をリストアップしてみた。
表1:ロシア取引所の2020年値上りのトップ5銘柄
表2:ロシア取引所の2020年値下りのワースト5銘柄