職業高校と普通科高校を比較した記事では、職業高校生を「被淘汰的人」(淘汰された人)と表現している例もあります。

「我和我的中职学生:这些被应试淘汰的人,真的是差生吗?」(僕と僕の同級生、時代に淘汰された僕たちはそんなにわるいの?、https://new.qq.com/omn/20211028/20211028A01A0300.html)と題された記事

教育制度改革の提言も

 問われ始めている職業高校の存在理由、普通科高校の学生との間に広がっている格差、などに対して、北京大学で社会政策を研究している姚洋教授は次のような提言を行っています。「北大教授姚洋建议“取消中考”,实施十年义务教育,官方回应来了」(中学卒業試験(中考)の廃止と義務教育の10年実施への提言、https://new.qq.com/omn/20210906/20210906A03GEH00.html)の内容を次に簡単にまとめました。

1.普通科高校への入学割合を、50%から緩和または全面的に自由化する

 従来の割り当てを維持する限り中学生時代から過酷な競争を学生が強いられるのに加え、父母へも社会的経済的負担が増加している。より高度な職業教育を高等職業学校で学べるようにしつつ、学生の進路選択を広げることで、社会疲弊を和らげる。

2.重点高校の見直しと教師の配属制度の見直し

 教育の機会均等を目指し、予算や資源の配分見直しを進める。日本と同様に、教師の異動制度を段階的に実施し、優秀な教師とその指導方法が広くいきわたるようにすることで、教育資源を社会全体で共有していく。

3.義務教育制度の9年制から10年制への見直し

 小学校を5年制、中高教育を一体化して5年制とし、あわせて10年間の義務教育制度を新たに設ける。現在中国の中学校と高校では多くの時間が復習と受験対策に費やされており、学生の創造力に悪影響が懸念される。学生の学ぶ時間を自由にひろげることで創造力を高めるとともに、教育の選抜を大学入学時にすることで、社会の不要な教育競争を抑止できる。

 中国では、教育の産業化や行き過ぎた競争を制限するために、「双減政策」を取り始めました。姚洋教授の提言のような、抜本的な教育制度の改革が今後行われる可能性もあります。