職業高校生は「淘汰された人」なのか?

 では、実際の進学率は現在どうなっているでしょうか。

 シンクタンク未来智库の最新調査によると、職業高校への進学者は42%、普通科高校への進学者は58%となっています(「2022年中等职业教育行业发展现状及趋势分析 五五分流下中等职业教育升学增量可观」、https://www.vzkoo.com/read/20220113a5231c9ac9139177266bb672.html)。

 ただしこの比率は、都市部と農村部で大きく違います。

 2022年の場合、北京では普通科高校が70%、職業高校が30%でしたが、中国西部の四川省では普通科高校が39%、職業高校が61%でした。同様に西部にある貴州省や雲南省は長年、普通科高校への入学率が低く、地方から大学に進学するのが難しいことを示す例といえるでしょう。

 さらに、この進学状況の差は、同じ市町村内でも生まれています。

 子供が普通科高校に行けるようにするために、成績優秀な中学校の学区に親が家を買う、「学区房」という競争があります。つまり、すでに中学校に入学する前から競争が始まっているのです。これは、成績優秀な中学や高校に重点的に優秀な教員や予算を投じるという重点校政策のためです。

教育資源に恵まれた立地であることをうたった(下部分)不動産広告(筆者撮影)

 職業高校には退学率が高い、という課題もあります。職業高校を退学する生徒は中国全土の平均で10%、四川省などの西部地区では60%、という数字も出ています(「何力:职教高考真能使中等职业教育“香起来”吗?」高職試験は中職試験を魅力的にできるのか?、https://new.qq.com/omn/20220212/20220212A04OB300.html