職業学校が高く評価された1980年代

 1980年代は、「中職」から「高職」という進路が大きく評価されていました。この時代は改革開放により多くの工場労働者が求められており、まだ民間企業に人材を育てるノウハウがありませんでした。このため、職業学校の卒業時には学校から就職先をあっせんされ、職業学校の出身者は企業から即戦力として優遇されました。

 最近、インターネット上で話題になったのが次の写真です。この80年代の辞典では、コロン(:)の利用例として「张华考上了北京大学;李萍进了中等技术学校;我在百货公司当售货员:我们都有光明的前途」(張さんは北京大学に進学し、李さんは職業学校で学び、私は百貨店で売り子をする。みんなの未来は明るい)という文が載っています。

80年代の新华词典に掲載された例文。画像は「当年人人羡慕的“铁饭碗”,如今泯然众人,成为“时代的眼泪”」(http://k.sina.com.cn/article_1810748817_6bedd59100100x93d.html#/)より

 ところが時代は移り変わり、2000年代以降、職業学校の人気は次第に低下していきました。90年代には500万人を超えていた学生数が、2000年代には300万人にまで減少しました。社会全体で大学卒という学歴の志向が強まっていったためです。

 その傾向を弱めるために実施されたのが、「高中」(普通科高校)入学者数と「中職」(職業高校)入学者数を同数にするという取り組みです。これは2002年に開始され、2022年現在でも継続中です。2021年にも「教育部办公厅关于做好2021年中等职业学校 招生工作的通知」(中国教育部2021年中等職業学校学生招致の通知)という通知が出されました。

職業高校と普通科高校の入学者数比率を堅持するという方針を示した通知