(加藤勇樹:香港企業Find Asia 企業コンサルタント)
日本では基本的に4月が学期の始まりですが、世界的には9月を学期の始まりとする国も多く、中国も同様です。
以前、中国人が毎年160万人、国外に留学していることをお伝えしました(「世界最大の160万人、中国人留学生はどこへ?」、https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62105)。一方、中国は留学生のアジア最大の受け入れ国という面もあります。
ところがコロナ禍により留学生の受け入れが現状では難しくなっています。中国が進めてきた留学生政策が今後どのようになっていくのか、最新事情をお伝えします。
アジア一の留学大国として
中国はアジア地域で留学生をもっとも受け入れている国です。2019年の中国教育部(日本の文部科学省に相当)の公式発表では中国国内で約49万人の留学生が学んでいます。2020年はそれが約53万人に増えると当初は予測されていました。一方日本国内で学ぶ留学生の総数は2019年度に約31万人でした(文部科学省、https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1412692.htm)。国別の留学生受け入れ数は第1位がアメリカ、第2位がイギリスで、中国はそれに続く世界第3位です(次のグラフ)。
中国への留学生数の多さは、10年にわたる留学政策が実を結んだものと言えます。2009年時点で中国への留学生数は約23.8万人でしたから、この10年で2倍以上に増加しました。
2009年、中国教育部は「留学中国計画」を発表しました。これは「2020年までに中国をアジア一の留学生受け入れ国となることを目指す」「中国との国際協力を担える人材を育成する」という2つを柱とした学生の招聘計画です。
その後、インドネシア、中央アジア、東アフリカの学生を対象とした留学基金を創設するなど、中国の国際進出を目指した一帯一路(Belt and Road Initiative)と連動した留学生政策が行われました。