早春のメバル・煮付け

春先の釣りの楽しみ

 暖かい南風が入ってくる春先。陽気に誘われ、思わず竿が振りたくなる頃です。

 一方で沿岸の海中は、まだまだ冬。お魚も海水温の上昇があれば活性は徐々に高まりますが、堤防などで賑わいを見せるようになるのはまだ少し先。

 そんな焦れったい時期、竿を曲げて楽しませてくれるのは「メバル(眼張)」です。

 メバルは低温域での活動力が高く、春は他の魚より早く活性が上がり始めるため「春告魚」とも言われます。

 わりと臆病で夜行性が強く、基本的には夜釣りのターゲットです。

 ただ、一見気難しそうなメバル釣りですが、生息地が推定でき、仕掛けや釣り方に少し気を遣いながらパターンをつかむと、意外に手軽なターゲットです。

 今回は、一般的な魚の「目」の特性と捕食行動との関係を少し紐解きながら、陸釣りのメバルについて、私の遊び方を交えながらご紹介いたします。

魚の目の構造と見え方

 まずは一般的な魚の「目の構造」について。

 参考にさせていただいた著書「釣りの科学(森秀人著)」によれば、人間の目と比較をもとに以下2点の違いが紹介されています。

1.多くは左右体の側面から少し飛び出した形となっており、人間とは位置が異なります。

2.目の構造や機能についても人間の目は各眼球の筋肉の収縮によって片目でも一定の距離感と鮮明な像が見られるのに対し、魚の目はそれがなく、視野は広いものの、距離が測れるのは両目の視軸が交わる正面約30度程度の複視ポイントに限られます。

 つまり、エサを見つけたり後ろから襲われないために車のドアミラーを見るかのように左右後方まで見えているのですが、距離が測れません。