2日制タイトル戦での「勝負めし」

 藤井五冠は、2日制のタイトル戦で何と12連勝している。これはすごい記録である。

 昨年の第62期王位戦七番勝負で、藤井二冠は挑戦者の豊島王位に第2局から4連勝し、王位のタイトルを初めて獲得した。そして、藤井は昨年の竜王戦で豊島竜王に4連勝し、今年の王将戦で渡辺王将に4連勝した。

  そんな藤井が2日制タイトル戦の対局の昼食で食べた、いわゆる「勝負めし」についてすべて紹介する。

 以前にも本サイトで、藤井が東西の将棋会館での対局で注文した昼食を紹介したことがあり、肉料理と麺類が多かった。

 ホテルや旅館でのタイトル戦の対局では、対局者は3種類ほどの食事メニューから選ぶ。

 ※①は1日目、②は2日目。いずれも藤井の昼食。

◆王位戦(豊島ー藤井)

第2局(北海道旭川市)①蒸し鶏の葱塩ソースかけ ②海鮮丼

第3局(兵庫県神戸市)①三田牛と淡路玉葱焼き丼 ②冷やしうどん膳

第4局(大阪府大阪市)①ハンバーグ、バターライス ②みそ煮込みうどん

第5局(徳島県徳島市)①天ぷらうどん ②鉄火丼

◆竜王戦(豊島ー藤井)

第1局(東京都渋谷区)①天重御膳 ②かるめら黒印度カレー

第2局(京都府京都市)①桜御膳 ②京ゆばうどん

第3局(福島県いわき市)①麗山高原豚ロースカツカレー ②いわきの魚と天ざるそば

第4局(山口県宇部市)①手毬寿司御膳 ②ふくフライカレー

◆王将戦(渡辺ー藤井)

第1局(静岡県掛川市)①天ぷらうどん ②オムライス

第2局(大阪府高槻市)①かつ煮定食 ②牛すじカレー、串カツ

第3局(栃木県大田原市)①与一和牛ステーキ重 ②与一和牛カレー

第4局(東京都立川市)①和牛ハンバーグ(奥多摩山葵ソース) ②タンと頬肉のハヤシライス

 対局で昼食を食べすぎると、眠気が生じて集中力を欠くことになりかねない。佐賀県上峰町(王将戦第5局予定地)で提供されたようなボリュームのある食事は、もちろんなかった。

 藤井は、うどん、そば、カレー、丼など、食べやすいメニューが多かった。

 また、兵庫県神戸市(王位戦第3局)・三田牛と淡路玉葱、京都府右京区(竜王戦第2局)・京ゆばうどん、福島県いわき市(竜王戦第3局)・いわきの魚と天ざるそば、山口県宇部市(竜王戦第4局)・ふく(河豚)フライカレー、栃木県大田原市(王将戦第3局)・与一(平家物語の那須与一)和牛ステーキ重、東京都立川市(王将戦第4局)・奥多摩山葵(わさび)ソースなど、ご当地にちなんだ料理をよく注文した。

 中でも、東日本大震災から11年もたっているのに、いまだに風評被害がある福島県いわき市で、藤井が地元の魚料理を食べたことは関係者を喜ばせた。

「たかが食事、されど食事」。歴代の一流棋士たちの多くは、対局での食欲がきわめて旺盛だった。「食を征してこそ、勝負も征する」ともいえるのだ。

 強さの基になっている藤井の「勝負めし」に、今後も注目したい。