当面は手を付ける余裕がない「積弊清算」

 尹錫悦氏は今回の大統領選挙で一貫して「反文在寅」というフレームで選挙に臨み、「文在寅政権の積弊が明らかになれば公正に捜査する」と強調してきた。対する文在寅大統領は強く反発してきた。

 だが韓国の国民が大統領選挙を通じて尹氏に送ったサインは「積弊清算」ではなく「国民統合」だった。尹錫悦氏も民意のありかを察知したようだ。投票日翌日の記者会見では「国民統合」を強調してみせた。

「文政権に対する積弊捜査をするのか」という記者の質問にも、「国民の利益になることが何かを考え、現政権とよく協力して、国民の不便がないようにする」と述べ、回答の代わりをした。

 文在寅大統領は、退任後はひとまず、親友だった故・盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の私邸のある慶尚南道金南市・烽下マウル(村)のすぐ隣、慶尚南道梁山市に建てられた豪華私邸に静かに帰るものと見られる。