「内食」も追い風に
残り0文字
このほかにも、「はたけんぼ」の集客術には秘密がある。それは、「旬のもの」を目玉にしたイベントや、食育講習会などの開催だ。併設したイベントスペースでは毎週、果物祭りや感謝祭・・・。食育をテーマにしたセミナーや、生産者が先生となる郷土料理講習会も人気を呼んでいる。「消費者の方と積極的に接点を持つことは、はたけんぼへの信頼と客の確保につながる。生産者自身もイベントを通じて消費者の反応を肌で感じ、生産の工夫に生かしている」と佐藤氏は指摘する
また、公共施設との連携も、売り上げを下支えする。小中学校の給食や病院、介護施設などへは地場農産物を積極的に納入し、それが「はたけんぼ」のブランド力を押し上げる。佐藤氏は「現代人の考え方を意識した販売路線が大切。食への不信感が増大している今、生産者の見えるファーマーズマーケットの商品は『安心して食べられる』という大きな要素がある」と自負する。
景気悪化で「内食」増加、少量多品目を提供
タブー破り、他県仕入れも
景気悪化で消費者が一段と安価な商品を求め、自宅で食事をする「内食」も増えている。『安価・安心・新鮮』を徹底的に追求し、核家族化を考慮する少量多品目の商品提供」。「はたけんぼ」の経営理念は明快だ。
買い物客に話を聞いても、満足している声が多い。40代の女性は「商品の生産者が分かり、安心できる。しかも安くて、このご時勢には本当に助かる」。農家が作る加工品も、「商品の材料自体が安全。スーパーで買うものよりも安心感がある」と高く評価していた。
ただ、消費者も「100%満足」というわけではない。30代の女性は「スーパーのような売り場構成にするのならば、調味料や肉製品の品数をもっと増やしてほしい」と注文をつける。
スーパーとの比較になるが、「店内に活気や彩りが少し足りない」という不満も聞こえてくる。佐藤氏も「店舗全体のインパクトが弱い。従業員教育も必要だし、経営向上に向けて取り組むべき課題はまだまだある」と表情を引き締める。
「地場産品にこだわり続けるのが、揺るがない目標。郷土を大切にする販売方針は生産者、消費者の双方にプラスだ。需要と供給のバランスを保つ橋渡し役を目指す」。佐藤氏の言葉一つひとつに、生まれ育った須賀川への愛情があふれている。「はたけんぼ」の挑戦は続く。