文在寅政権は中国に配慮した政策を取るが・・・(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(羽田 真代:在韓ビジネスライター)

“反日教授”こと韓国・誠信(ソンシン)女子大学教授の徐坰徳(ソ・ギョンドク)氏が、最近、「二足の草鞋」を履こうと奮闘している。二足の草鞋の片方は日本、もう片方は韓国が追従姿勢を貫く中国である。

 文在寅(ムン・ジェイン)政権が中国に配慮した政策を取り続ける中、国家政策に反発するかのように中国を批判する徐坰徳氏は、危険な賭けに出たと筆者は思う。だが、彼の中国批判には理由があり、彼に置かれた立場を考慮すると致し方ないことなのかもしれない。

 ここではその理由と、彼の今後行きつく先について筆者の考えを述べたいと思う。

 最初に、彼の二足の草鞋のもう片方である中国批判についてご紹介する。

 徐坰徳氏は、2020年11月に始まった「中韓キムチ論争」に便乗し、国内向けアピールに成功したことが自信につながったのか、2022年1月28日に「Chinese New Year(春節/中国節)」表記を「Lunar New Year」に変えるという巨大なキャンペーンを打ち出した。中韓キムチ論争とは、キムチの起源が中国と韓国のどちらかという論争である。

 キャンペーンの内容は、海外に居住する韓国人らが「Chinese New Year」という表記を発見した場合、写真とともに徐坰徳氏のインスタグラムに情報を提供し、その情報を元に関連機関などに彼が書簡を送付し、修正を促すというものだ。

 書簡と言っても、彼の場合はメールやSNSなどのメッセンジャーで抗議する場合がほとんどで、今回も書面で抗議することは極めて少ないだろう。反日抗議で使う手法と同じだ。

 このキャンペーンを告知する彼のSNSには、次のような独自の見解が綴られていた。

「グーグルカレンダーや国連など様々な場所で、ソル(旧正月)が中国節と表記されていることを発見した」
「西欧圏の主要都市にあるチャイナタウンでは旧正月を迎えると大きなイベントが開かれる。それがニュースでも紹介され、“Chinese New Year”の方が認識されていることは事実だ」
「しかし、旧正月は中国だけの名節ではなく、韓国、ベトナム、フィリピンなど、様々なアジア国家が記念する祝日であるため、“Lunar New Year”に名称を変更することが適切だと思う」