ここ数年で格段に進んだロシア社会のデジタル化(写真はモスクワの百貨店)

 ロシア、特にモスクワに暮らしていると、日々の生活の様々な面でデジタル化、キャッシュレス化の進化と深化を感じる。

 新型コロナウイルスの感染拡大で世界的に様々なビジネス・シーンでデジタル化が進むが、ロシアもその例外ではない。

 いや、ひょっとすると他国を大きく上回るペースで経済のデジタル化が進んでいるのではないかとさえ思う。

 ソ連が崩壊後の1990年代にも似たようなことがあった。携帯電話の普及だ。

 筆者自身は経験はないが、諸先輩方から聞く話ではソ連時代は回線数の関係からか、とにかく電話を確保するのが大変だったそうだ。

 ところが1990年代後半のロシアでの携帯電話の登場とともに大きく状況は変わった。

 筆者はモスクワの例くらいしか承知していないのだが、携帯電話は本当に瞬く間に広がっていった。

 その理由の一つは、固定電話回線を設置するよりも携帯電話の基地局を設置する方が許認可も含め簡単に済んだからだ。

 既存のインフラを上書きするよりも、新しいものをゼロから導入した方が早く広く普及するということを証明した一例といえよう。