コロナ禍で飲食や演劇などは大きな打撃を被ったが、積極財政のお陰で経済の立ち直りは早い(写真はモスクワのボリショイ劇場)

 ロシア政府(国家統計局)が2月1日に発表した2020年の国内総生産(GDP)の実質成長率(速報値)はマイナス3.1%。

 マイナス5~10%だった欧州諸国や主要新興国に比べ、経済減速の「傷」は相対的に浅かった(ロシア以外の数値は国際通貨基金=IMFによる推計)。

 経済減速の中身を詳しく見ると、足を引っ張ったのはやはり新型コロナウイルス感染症により大きなダメージを負った業種だった。

 具体的には、①ホテル・外食(前年比24.1%減)、②文化・スポーツ・娯楽(同11.4%減)、③運輸(同10.3%減)、④鉱業(同10.2%減)などが挙げられる。

 前三者はいずれも、新型コロナの影響を直接的に被った業種だ。

 ロックダウンでの休業や営業形態の変更を迫られた、国内外の人の移動が制限されたことが影響した、「密」を避けるために入場者数などが制限された、などがその背景だ。

 鉱業の落ち込みは、ロシアの主要な輸出品である石油・天然ガスの国際価格の急落が要因だ。その背後には新型コロナの拡大による世界的な需要減少があり、その意味では間接的に新型コロナの影響を受けた業種だ。

 その一方で、小売り・卸(前年比2.9%減)、製造業(プラスマイナスゼロ)、情報・通信(同0.2%増)など新型コロナの影響が軽微だった業種もある。

 業種によりばらつきはあるが、2020年4月、5月を底に回復基調にある。