クリスマスの飾りが施されたモスクワの赤の広場

 そろそろ年の瀬の声が聞こえてくる時期になった。今年の、また来年のロシア経済はどのようなものになるだろうか。

 経済全般では明るい材料が見出しにくいものの、小売やサービスの分野では日本企業にもチャンスとなり得る新たな動きが拡大しつつある。

 多少気の早い話だが、来年への新たな期待も込めつつ、モスクワから見える風景をまとめてみたい。

景気回復の足取りは重く

 ロシア経済の回復の足取りは残念ながら重いものとなっている。今年の実質GDP(国内総生産)成長率は昨年の2.3%から1%台前半に減速するとみられる。

 11月13日に経済発展省が発表した今年第3四半期のGDP成長率は前年同期比1.7%(10月発表の速報値から0.2ポイントの下方修正)。1~9月期では前年同期比1.1%増となっている。

 2019年第1四半期のGDP成長率は0.5%、同第2四半期は0.9%だった。前年同期(それぞれ1.9%増、2.2%増)に比べて大きく落ち込んだ。

 年初に付加価値税(VAT)が18%から20%に引き上げられたことによる消費者物価の上昇、それに伴う実質賃金の伸びが鈍化したことなどから消費が落ち込んだことが主因だ。

付加価値税引き上げの影響じわり

 ロシアで活動する日系企業も景気の変動を敏感に感じているようだ。

 ジェトロが年に3回(今年は1月、4月、9月)実施する「在ロシア日系企業景況感調査」を見ると、年初は比較的高かった景況見通しが徐々に下がっている(下図参照)。