ロシアのサンクトペテルブルクを流れるネヴァ川

 毎年恒例の手前味噌的記事で恐縮だが、筆者の勤務先であるジェトロでは毎年、在ロシア日系企業を対象としたアンケートを実施している。

 最新の調査(2019年10~11月実施)で明らかになったのは、停滞や不安といった印象で語られることが多いロシアが、実は日本企業にとっては依然として「儲かる」市場であるという結果である。

 米国による追加経済制裁などが断続的に出ていることもあり将来的な見通しについては慎重な見方が増えてはいるとはいえ、縮小・撤退を検討する企業はほとんどない。

 在ロシア日本企業の大部分は、この瞬間に大きな投資決定をする状況にはないが、市場の動向をにらみつつ、いつ商機が訪れてもいいように備えているといえよう。

営業黒字見込みは依然として7割近く

 少し細かく見ていこう。2019年の営業黒字を予想する回答は全体の68.3%。前年の72.8%は下回ったものの7割に近い数字を維持している。

 クリミア併合に端を発する米国・EUなどによる経済制裁とロシアによるその対抗措置、また原油価格の大幅下落などから大きく経済が落ち込んだ2015年を底に、2016年以降、営業黒字を見込む割合は常に6割を超えている(図1)。

 ちなみに、営業赤字の見込みは2015年をピークに年々低下しており、2019年は1割にとどまる(2015年は約3割が赤字見込み)。

 日本企業が多く進出する中国や東南アジアと比較しても、ロシアの営業黒字比率に遜色はない。むしろ国によってはロシアの方が高い。

 例えば同じく2019年の調査結果では、中国は68.5%、近年「フロンティア市場」として注目が集まるメコン流域では軒並み50%以下である。