ロシアの新型コロナウイルス感染症用ワクチン「スプートニクV」(2021年1月31日撮影、写真:ロイター/アフロ)

 2020年8月、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は世界初の新型コロナ・ワクチン「スプートニクV」の認可を発表し、世界を驚かせた。

 ロシアはその後もワクチンの開発を進め、現在では4種類の新型コロナ・ワクチンが認可されるに至った。

 この分野でのロシアの高い実力を示しているといってよい。

 医療分野では新型コロナ対応で日露間の協力事例が出ているほか、ロシアのユニークな医療技術を日本に取り込もうとの動きも見える。

新型コロナ・ワクチンで存在感

 ロシアでは2020年8月に「スプートニクV」が世界で初めての新型コロナ・ワクチンとして認可されて以降、すでに4種類の新型コロナ・ワクチンが認可された。

 スプートニクVの認可自体は、通常必要とされる大規模治験(臨床試験第3フェーズ)を経ず、接種と並行して行ったことから疑問を呈する向きもある。

 しかし結果的に、大きな副反応事例はほぼ聞こえてこない。

 スプートニクVの開発元は、その有効率を97.6%としている。

 「さばを読みすぎではないか」との疑問もあるかもしれないが、世界的にも権威があるとされる査読制の医学誌「ランセット」も、2021年2月、スプートニクVの有効率は91.6%とする論文を掲載している。有効性についてはそれなりに証明されているといってよいだろう。

 4種類のワクチンは、3種類がそれぞれ異なるタイプのワクチン(4種類目のスプートニク・ライトはスプートニクVの1回目接種分と同成分。ただし有効率は8割程度に落ちる)だ。

 比較的短期間にこれだけのワクチンを開発し実用化にこぎつけたことは、ロシアの医療・生物学分野での基礎力の高さを改めて知らしめるものだ。