新型コロナウイルス感染症の第3波もようやく峠を越えた感があるロシア。その中でビジネスは引き続き活況を呈する。
ロシア経済も全体ではコロナ禍を克服しつつあり、今年第1四半期の実質GDP(国内総生産)成長率はマイナス0.7%と、ほぼ前年並みの水準まで回復した。
その一方で、景気の減速を懸念する声も聞かれ始めた。
コロナ下でのロシア経済の動きを振り返りつつ、この先の経済動向を読み解いてみたい。
経済の回復はしっかりとした足取り
ロシア経済は着実に回復している。
2020年第2四半期、新型コロナによるロックダウン(外出禁止を主とする含む都市封鎖。3月末から5月初旬まで)で経済は大きく落ち込んだものの、その後マイナス幅は時を追うごとに縮小。経済は着実に回復に向かっている(図1)。
ロシアの実質GDP成長は2020年通年では3%減と、他の主要国・新興国と比べ相対的に「傷が浅かった」ことは以前も本誌で紹介したところだ(注)。
(「コロナ禍でも傷は浅かったロシア経済」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64407)
2021年第1四半期は前年同期比0.7%減まで回復している。
ロシア中央銀行は今年7月の政策会合で、ロシア経済はコロナ前の水準を回復したとの認識を示した。
ロシア政府や中銀のほか、国際通貨基金(IMF)などの国際金融機関は、今年と来年のロシアの経済成長見通しをいずれも2%台後半から3%前後と予測している。
必ずしも高い伸びとは言えないが、回復の足取りはしっかりしているとの見方だ。
(注)速報値発表時は3.1%減となっていたが、その後3.0%減に上方修正された。