(山田 珠世:中国・上海在住コラムニスト)

 中国で副業をする人は多い。チャットアプリ「微信(WeChat)」のモーメンツ(投稿を友だち同士で共有する機能)を見ると、中国人の友人たちが副業で取り扱う物品の宣伝が、今日もずらりと並んでいる 。ネットワークビジネスを手掛ける人、海外の商品を代理購入する人、自分でデザインしたグッズを工場で生産してもらい販売する人など幅広い。

 微信のモーメンツで宣伝しているほどだから、みんな会社に隠れて副業をやっているわけではない。中国では上司と微信で「友だち」になるのは一般的だからだ。つまり上司も知っているのだが、特に差し支えないということになる。

 自分が売れる商品を持っていればモーメンツで宣伝するし、配偶者が会社を経営していればその会社のPRをする。公務員の場合は副業は一応禁止されているらしいが、大っぴらにやっていないだけで、多くの人が何かしらの方法で副業を手掛けているようだ。

 数年前には、安徽省のある鎮(町にあたる行政区)の鎮長が、配車サービス大手で仕事をしていたことが話題になった。さすがに鎮長の副業は問題視され、紀律検査委員会が調査に乗り出したという。ただこのことからも、ある程度の地位に就いている人ですら副業に抵抗がないということがわかる。