上海の高層ビル群

(花園 祐:中国・上海在住ジャーナリスト)

 はっきりと意識するようになったのは今年(2021年)の春先ごろですが、上海市内のオフィスビルやショッピングモールなどの商業施設で、テナントが埋まっていない空きスペースが目立つようになってきました。中には市内中心部に近い一等地と言えるような施設でも、1年近く「テナント募集中」と書かれた紙が貼られているスペースがあります。

 こうした傾向は夏頃からさらに激しくなっていきました。友人と街を歩いていると、友人が「最近、お店の入っていないショッピングモールが多いよね」と口にするなど、今や多くの人がはっきり意識するまでになっています。報道では、中国の主要都市の半分で、今年上半期のオフィスを含む商業不動産の空室率は30%超に達したと伝えられています。

 そこで今回は、中国の住宅不動産の問題に隠れがちな、商業不動産における空室問題について最新の状況を紹介したいと思います。

主要都市の半分でオフィス空室率が30%超

 まず、直近の中国における商業不動産の空室に関する主要統計データから見ていきましょう。