アフガニスタンの首都カブールで雪の中を歩く女性(2022年1月3日、写真:ロイター/アフロ)

(古森 義久:日本戦略研究フォーラム顧問、産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 女性の権利はいまや全世界で主張され、男性との平等が当然視される。そんな潮流のなかで、いま世界でも最も苦しい思いをしているのはアフガニスタンの女性たちだろう。彼女たちの苦痛の悲鳴がいくつかの経路で外部世界に伝わってくる。各国のフェミニストたちにはぜひとも聞いてほしい悲鳴である。

 アメリカのバイデン政権はアフガニスタン政策に大失敗した。2021年8月、アメリカに支援されてきたアフガニスタン・イスラム共和国の政府は一気に崩壊してしまった。替わってイスラム原理主義の政治勢力タリバンが復活した。

 この政治の激変のなかで最も苦しんだのはアフガニスタンの女性たちだと言えるようだ。20年前にアメリカ支援のアフガン各勢力に撃退されたタリバンが今またアフガン国民に異様なほど厳格なイスラムの戒律を押しつけ始めた。

 その新たな流れのなかでこれまで自由で男女同権を享受してきたアフガニスタンの女性たちが今や自由を奪われ、苦痛のなかにいる。社会での活動の自由はもちろん教育の権利や単独での外出の権利さえもイスラム原理主義のタリバン政権によって奪われるようになったのだ。