中国と競争する時代に入るにつれ、日本の見解が改めて求められている。

 米国や英国の有力な政府高官の一部は、日本を(そして韓国をはじめとする、この地域のほかの国々も)ファイブ・アイズという英語圏5カ国による機密情報共有ネットワークに参加させることを語り始めている。

 中国をより深く理解するのがその狙いだ。

「15年前には、私が(西側諸国の同僚に)中国のネガティブな側面について話をすると、中国嫌いの右翼学者扱いされた」

 東京大学に籍を置く中国の専門家、松田康博氏は昔をこう振り返る。「今では話を聞いてくれる」

懸念される3つのトレンド

 中国に詳しい日本人識者は、懸念されるトレンドが3つあると指摘している。

 第1のトレンドは中国の過信だ。「彼らは、西洋が衰退していると本気で信じている」と兼原信克・元官房副長官補は言う。

 中国の指導者が自分たちの政治システムは米国の混乱した民主主義よりも優れていると語る時、それはそう見せかけているわけではないと日本の学者は見ている。

 なかには、日本自体が第2次世界大戦に向かう過程で見せていたうぬぼれに似ていると危惧する向きもある。

 日本の高位の外交官だったある人物は、次のように述べている。

「我々は常々、戦前に我々が犯した過ちを彼らに思い出させている。すると、彼らは『まさか。我々は全然違う』と言う。だが我々から見ると、似ている点が増えてきている」

 第2のトレンドは、中国が習近平国家主席の下で集団指導体制から個人指導体制に移行していることだ。

 日本政府の高官は、1人の人物の判断に依存するという点で、中国は北朝鮮のようになりつつあるとの懸念を抱いている。

 実際、この見方に照らせば習氏は、スイスで教育を受けた北朝鮮の独裁者、金正恩(キム・ジョンウン)氏よりも孤立しているとさえ言えるかもしれない。

「習氏は自由世界のことを全く知らない。きっと金氏の方が我々の世界をよく知っている」と兼原氏は言う。