こうした懸念は、日本の対中国政策の変化を促している。

 新型コロナウイルスのパンデミックが始まる前、日本と中国は比較的くつろいだ時期を過ごしていた。

 尖閣諸島・釣魚島での衝突の後、当時の安倍晋三首相は日中関係の安定化を目指し、習氏を2020年4月に国賓として招待した。

 こうした計画は新型コロナのせいで頓挫した。岸田文雄新首相は慎重に事を運ぼうとしているものの、就任早々タカ派的な行動を取っている。

 まず、経済安全保障相のポストを新設し、重要な物品の供給における中国への依存度を低下させることなどをその任務の一つとした。

 また、中国タカ派として知られる元防衛相の中谷元氏を人権問題担当首相補佐官に起用した。

 新疆ウイグル自治区や香港における中国の人権侵害に、これまでより厳しい姿勢で臨むことを目指した人事だ。

 さらに、11月に国会を通過した景気刺激策には、新型のミサイルや軍用機の購入を加速するために異例な7740億円の防衛費が盛り込まれた。

国交正常化50周年も祝賀ムードなし

 日本と中国は2022年、第2次大戦後の国交正常化50周年の節目を迎える。

 これを祝おうという意欲はほとんど見られない。2021年に行われた世論調査では約71%の日本人が中国を「脅威」だと答え、2020年の63%より多くなった。

 同様に、日本に否定的な見解を持つ中国人の割合も、53%から66%に跳ね上がった。

 日本の自衛隊と中国軍は12月末、両者間の連絡チャネルを改善することで合意した。歓迎すべきことだが、これは同時に、両国間の緊張がどれほど気がかりなものになったかも示唆している。

 岸田首相は習氏の来日に否定的だが、国賓としての招待を正式撤回するには至っていない。

 また、2月開催の北京冬季五輪に閣僚を派遣せず、少数のスポーツ関係者のみを送ると決断している。

 日本がこれを、米国やその同盟国と同じように「外交的ボイコット」と呼ぶことはない。だが、人数の少ない代表団を目にしてかつての遣唐使と間違える中国人もいないだろう。

 長きに及ぶ日中間の歴史は今後、荒れる局面に入ることになりそうだ。