(英エコノミスト誌 2022年1月1日号)

2021年1月6日、トランプ氏の演説の後、支持者たちが議事堂に向けて行進、乱入した(写真:ロイター/アフロ)

米共和党がいまだにトランプ氏に心酔していることは由々しき事態だ。仕方がないと観念してはならない。

 米国民が自国の民主主義の安定性に懸念を抱いている。

 政治に強い関心を持つ人のざっと40%は、相手側の「部族」に属する連中は邪悪だと話している。60%は、相手側が米国の脅威だととらえている。

 そして80%超は、この政治システムには「大きな変革」や「抜本的改革」が必要だと思っている。

 評論家からは、一般の人々が政治的なことを考えたり関わったりすることが減ったという嘆きの声が上がっているが、この脅威の重大さはもうそんなレベルではないように思える。

 内戦に至るリスクがあるとまで警告する学者も出始めている。

危険なほど極端な党派心

 こうしたことが危険なほどの現実味を帯びたのは1年前、ドナルド・トランプ氏の支持者らが大統領選での同氏敗北の認定を阻止しようと連邦議会議事堂を襲撃し、140人の警察官が負傷した時のことだ。

 過半数の共和党議員が突如はっきり事態を理解したのは初めのうちだけで、やがてトランプ氏を擁護する言い訳を並べるようになった。

 トランプ氏のウソが瞬く間に根付いたためだ。

 今日でも、共和党支持の有権者の70%は大統領選挙が盗まれたと思っている。世論調査による直接対決では、前大統領はバイデン氏との差をわずか1ポイントにまで詰めている。

 これはもう十分に誤差の範囲内だ。

 大統領選挙人の仕組みがあることも考慮すると、これが選挙だったら、ひょっとしたらトランプ氏の方がリードしていることになるかもしれない。

 極端な党派心と、選挙結果の受け入れを拒む共和党支持者の態度との組み合わせは、実に危険だ。

 とはいえ、怒ってばかりいては二大政党政治の根源的な真実を見失いがちになる。

 民主党も共和党もシステムを機能させるためにはお互いを必要とする、というのがそれだ。

 従って、制度の改造は共和党を通り抜けて進められなければならない。困難な作業になるだろうが、破滅論者たちが言うほどではない。