紅包(中国のお年玉)は2月の春節(旧正月)に配られる

(加藤勇樹:香港企業Find Asia 企業コンサルタント)

 GDP(国内総生産)が世界第2位になり、豊かになったように見える中国ですが、一人当たりGDPではまだ順位がそれほど高くありません。実際の庶民の暮らしはどうなのか。いくつかの統計資料を基に、現在の“マネー事情”をお伝えします。

 以下ではある程度信頼が置ける資料からの引用を基にしましたが、それ以外に数多くの資料、調査、記事があります。そのデータにはかなり大きな開きがあったり、食い違いがあったりする場合もある点については、ご承知おきください。

 先日、「中国若者の9割近く、巨額の借金を抱える」(看中国、2021年11月10日、https://www.visiontimesjp.com/?p=27406)という、ちょっと刺激的な記事が公開されました。

 記事には次のようなことが書かれています。

「中国銀行傘下の中銀消費金融連合が発表した「現代若者消費報告」によると、「90後(1990年代生まれ)」の1億7500万人のうち86.6%が分割払いや延滞返済が必要なさまざまな借金を抱えている」

「中国中央銀行によると、2020年6月末時点で半年間のクレジットカードの未払い総額が854億元(約1.5兆円)に達し、これらの延滞者の半数近くを「90後」が占めている」

 国土が広く、人口が多い国なので、全体をひとくくりにして語るのは難しいのですが、統計数字からわかることを見ていきましょう。

一人当たり貯蓄額は都市間で格差が

 中国中央銀行が発行する「中国统计年鉴(中国統計年鑑) 2021」(http://www.stats.gov.cn/tjsj/ndsj/2021/indexch.htm)によると、2020年12月の家庭での貯蓄額は93兆元。それが2021年6月には100兆元に増加しています。国内経済の成長を祝うという論調で報道されました。

 中国では16歳以上ならば一般的な銀行口座を開設できます。16歳以上の人口は約11億5000万人なので、100兆元を単純にこの人数で割ると8万7000元(約160万円)となります。