(土田 陽介:三菱UFJリサーチ&コンサルティング・副主任研究員)
オミクロン株の脅威に晒されている英国では、ジョンソン政権に対する有権者の風当たりが厳しさを増している。世論調査会社ユーガブ(YouGov)によれば、ジョンソン政権に対する有権者の支持率は最新12月20日時点で22%と下落傾向が続いている。不支持率は60%で有権者の支持離れが顕著だ。
◎ジョンソン政権の支持率
急速な支持離れは、むしろ与党・保守党の支持者の間で顕著だ。保守党の支持者によるジョンソン政権の支持率は12月5日時点で54%だったが、12月13日時点では40%と文字通り急落。一方で不支持率は25%から43%まで急伸した。この間に発覚した醜聞「ダウニングストリートパーティー問題」が、支持率の極端な低下をもたらしたのだ。
そもそもこの問題は、12月1日付のタブロイド紙「ミラー」が、2020年12月18日にジョンソン首相が側近らと首相官邸でクリスマスパーティーを開催していた可能性を報じたことに端を発する。12月7日にはテレビ局ITVが、実際にクリスマスパーティーが開催されていた事実を物語る映像を放送。政権に対する怒りの世論が沸き上がった。
2020年の年末、英国は新型コロナウイルスの感染状況がひどく、国民の行動は強く制限されていた。ワクチン接種が進んだ2021年の年末も、オミクロン株の流行により不自由な状況を強いられている。社会のストレスが募る中で明らかとなった「ダウニングストリートパーティー問題」は、英国の有権者の怒りを呼び起こすのに十分過ぎるくらいの醜聞だった。