新型コロナウイルス感染症の検査に並ぶ人の列はどこまでも続いている(12月8日ソウルで、写真:AP/アフロ)

「社内で感染者が出たので今日は会えません。すみません」

「会社で会食禁止になりました」

 12月に入ってソウルの日本企業駐在員からのこういう連絡が多くなった。オミクロン株の出現で日本への一時帰国を断念して憂鬱な日々を送る在韓邦人も続出している。

 筆者が主にお付き合いをしている在韓邦人は企業の駐在員だ。ソウルにある「ソウルジャパンクラブ」に加盟する企業数は350社、約1300人だ。

 ちなみに外務省領事局の「海外在留邦人数調査統計」では2020年10月1日現在で韓国にいる邦人推計数は4万500人だという。

相次ぐ一時帰国断念、あふれる帰国報告

 先週来、「一時帰国を断念しました」という話をあちこちで聞く。

 駐在員の多くは、コロナの流行が始まった2020年春以来一度も日本に帰っていない。

 1年半、または2年ぶりに家族のもとに帰ることができる。こう思っていた時に、思いもよらぬオミクロン株の出現だった。

 12月13日現在で、韓国から日本に入国すると、6日間施設隔離の後、8日間自宅待機だ。さらに韓国に戻った後も10日間の自宅隔離だ。

 こうなると、なかなか踏ん切りがつかない。在宅勤務に慣れているとはいえ、合わせて24日間。

 これに日本での活動日数を含めると、1か月以上韓国の職場を留守にすることになるのだ。

 それでも、何とか帰りたいというのが人情だ。在韓邦人の間には、一時帰国した方からの臨場感あふれる報告が出回っている。

 筆者も1つ紹介する。