食品ロスを減らすために我々ができることは何か。また、外食産業界はどんな取り組みを行なっているのか。
食品ロスをはじめとした社会課題に積極的に取り組む株式会社フードロスバンク代表取締役社長の山田早輝子氏と、注目の新刊『おいしい経済』を上梓したカフェ・カンパニー株式会社代表取締役社長の楠本修二郎氏に聞いた。(全3回の第3回)
第1回はこちら:「SDGs」が世界の富裕層にアプローチするべき根拠
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68019
第二回はこちら:「関係ない」と思われがちな社会課題への見る目を変えるには?
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68020
文・山中勇樹、写真・松橋晶子
規格外品の取り扱いに見る流通の変化
――そもそも論ですが、規格外の野菜などを飲食店などに出荷することはなぜ難しいのでしょうか?
楠本 実は、飲食店側が「取り扱いたくない」と言っているわけではないんです。
山田 アクセスがないんですよね。
楠本 そう。
山田 取り扱いたくても取り扱えないんですよ。
楠本 加えて規格外品を集めて飲食店にデリバーするサプライチェーンもないんです。もともと野菜等の出荷については、より売りやすいように全農さんが指導してくれるという歴史がありました。それらの商品が、カット工場を経て飲食店に届くという流れです。
これは、食料が手に入りづらかった戦後から日本の流通網を作り上げた功績でもあると思います。
一方で、東日本大震災などをきっかけに、サプライチェーンの流れが分断され、農家さんや漁業関係者も消費者にダイレクトに届けたいというニーズが出てきたわけです。
だから「生産者と飲食店をダイレクトにつなげよう」というプラットフォームが出てきたとき、僕らにとっても「この形もいいですね」となった。そこから徐々に、「生産者と飲食店・消費者をダイレクトに繋ぐ」動きも広がってきています。
ただ、難しいのが、それらをどう流通させるのかということ。出会うことだけでも大変なのに、それをどう届けるのかが問題です。まずは、直接取引ができる個人店が中心になると思います。チェーン店よりは動きが速いとは思いますね。
山田 なるほど。楠本さんの会社ではどうですか。
楠本 僕らのように店舗数が多いところは、発注するためのシステムを持っています。それを活用することで現場のシェフをサポートしながら、食品ロスを減らす取り組みを進めることができます。コロナ禍を経て、そのような動きが全国的に展開されています。
それが、生産者と店舗が直接やり取りできるようになりつつある。ですので、現状をチャンスに変える取り組みにつなげていくことが大事だと思っています。