コロナ禍で大打撃を受けた外食産業。このまま「外で食べる場」は価値を失うのか。カフェ・カンパニー株式会社代表取締役社長の楠本修二郎氏は「時代の変化」に勝ち筋を見出す。新刊『おいしい経済』が注目を集めている楠本氏のビジョンを生み出したビジネスの原点とは? コミュニティ作りの秘訣に迫るインタビューの後編。
(取材・文/川岸徹、写真:松橋晶子)
カフェは多くの文化を生み出す場所
早稲田大学卒業後、リクルートコスモス、大前研一事務所勤務を経て、1995年に独立に踏み切った楠本修二郎氏。
80年代後半から続いたバブル景気はすでに崩壊し、日本は景気悪化の道をたどり始めていた。97年には、北海道拓殖銀行が営業の継続を断念。同じ年に山一證券も自主廃業を決断した。
そんな時代に、楠本氏は果敢にチャレンジを開始。「濃度の高いコミュニティを生み出すための拠点を創り出したい」という意欲を抱え、飲食業界に勝負をかけた。