「おいしい経済」を上梓した楠本修二郎氏(左)と、さまざまな企業とコラボレーションをし持続可能な社会への歩みを進める山田早輝子氏(右)

 世界中でSDGsをはじめとする世界規模の課題に取り組むべく、様々な活動が動き出している。「課題」の裏には大きなビジネスチャンスが潜んでいる、ともいえる。

 なかでも日本で注目度が高い「食品ロス」。

 この両立に意欲的に取り組むのが日本のカフェブームをけん引してきたカフェ・カンパニー株式会社代表取締役社長の楠本修二郎氏、そして日本国内だけでなく世界からも脚光を浴びるフードロス削減活動の旗手、株式会社フードロスバンク代表取締役社長の山田早輝子氏だ。

 新著『おいしい経済』で、「おいしい」と「経済」の新しい概念を提示し、食による社会課題の解決に取り組む楠本氏と、「食品ロス」問題について目覚ましい成果をあげている山田氏に話を聞いた。(全3回の第1回)

文・山中勇樹、写真・松橋晶子

日本で「ガストロノミー」の普及に貢献

――まずは、お二人が知り合ったきっかけから教えていただけますでしょうか。

楠本 10年ほど前でしょうか、僕は政府のクールジャパン委員会で食の担当をしていました。その委員会が発展して、産官学連携のプラットフォームが創設され、その会議でお会いしたのがきっかけです。

山田 そうですね。クールジャパン委員会には、日本ガストロノミー学会の一員として参加しました。

楠本 そう。「日本ガストロノミー学会」の会長をされていて、その山田さんの活動のおかげで「ガストロノミー」という概念が日本で広まった、と僕は思っています。まさに、日本におけるガストロノミーの発信者。おおもとである国際ガストロノミー学会は世界的な組織ですよね。

山田 はい。国際ガストロノミー学会は各国の国王などが中心となり、100年ほど前に始まったいわゆる“食の学会”です。そのアジア初の参加国として、日本ガストロノミー学会が設立されました。

楠本 山田さんは他にも、ハリウッドで映画プロデューサーとしても活躍されていたことがあり、幅広いネットワークを持っている。最近ではフードロスバンクという組織を立ち上げられて、「美食」という概念だけでなく、「サステナブル」や「日本の地域の食材、調理技術、伝統などを世界に発信する」といった考え方、あるいは歴史や民族といったことをきちんと継承していくという発想をお持ちです。

拙著『おいしい経済』でもずいぶん、紙幅を取らせてもらいましたが、そのような概念や哲学が、食の中でもリスペクトされるようになってきています。

「おいしい経済」(楠本修二郎・著)写真をクリックすると詳細ページに飛びます。

山田 ありがとうございます(笑)。

楠本 世界規模でサステナブルの機運が高まる中、日本でいち早くフードロスの解決に立ち上がり、フードロスバンクも創業。冗談ですが、日本の王様だと思っています(笑)。

山田 言い過ぎです(笑)。