だが、今回のこうした発表を通じて筆者が感じるのは、スバルに関わる多くの人たちがスバルに抱いているであろうイメージと、“スバルの現実”のギャップだ。

 中村社長が指摘するように、スバルが今後グローバル市場で生き続けるためには、トヨタの資本力、技術力、そして人材を有効かつ積極的に活用するトヨタとの協力体制強化が不可欠だ。その代表例が、ソルテラを基点とするEV化である。

 一方で、トヨタと共同で進めるスバル車のEV化に対して違和感や不安を抱いている人も大勢いる。

 スバル車の特長は、水平対向型という、独ポルシェなどごく一部を除いて量産されなかったエンジン形式を軸足として、セダンなどでも積極的にAWDを採用するという、独自の商品性にある。そうしたスバルらしさに惚れ込んでスバルに入社した人、またスバルの販売店で業務にあたる人が大勢いて、彼らの思いがユーザー(とくに「スバリスト」と呼ばれるスバルのファン)のスバル愛を生み出し、支えていると言ってよい。