北朝鮮には二つの敵が存在する。民族としての敵と階級としての敵だ。民族としての敵は民族が異なる米国や日本、階級としての敵は、民族は同じだが階級が異なる韓国の既得勢力を指している。
北朝鮮の反米教育は洗脳といっていい。国民は、米国人は山猫だという洗脳を受けている。もっとも、その山猫が北朝鮮から一銭も受け取らずに、「ハート」を提供したことがある。米国人が北朝鮮住民にもたらしたアメリカン・ハートとはどのようなものなのか。
(過去分は以下をご覧ください)
◎「北朝鮮25時」
(https://jbpress.ismedia.jp/search?fulltext=%E9%83%AD+%E6%96%87%E5%AE%8C%EF%BC%9A)
(郭 文完:大韓フィルム映画製作社代表)
1990年代後半、米カリフォルニア州ロマリンダにあるキリスト教大学ロマリンダ大の医療団16人が平壌を訪問し、心臓手術を行ったことがある。
ロマリンダ心臓センター医療団は、新興国や途上国を回り、心臓病患者の手術を実施する非営利のボランティアだ。この時は、心臓手術を受ける北朝鮮住民のために医薬品や医療装備を準備し、訪朝した。手術中の停電に備え、自家発電機も持ち込むほどの念の入れようである。北朝鮮政府は、手術を受ける患者と手術室を用意するだけでよかった。
医療団を招聘したのは、金日成、金正日一族専用の病院である烽火診療所だ。北朝鮮住民の心臓手術のために、烽火診療所が米国の医療団を招聘したことを知った北朝鮮の医療関係者と住民は耳を疑った。彼らは米国の医療陣が北朝鮮住民の心臓を手術するために訪朝することに驚き、北朝鮮指導部が人民のために海外の医療陣を招いた愛民精神に感激した。
手術を受ける患者の選定は朝鮮赤十字総合病院が担当した。朝鮮で新たに開発された医薬品や外国から輸入した医薬品と医療機器の臨床試験を行う、烽火診療所隷下の実習病院だ。
朝鮮赤十字総合病院は、ロマリンダ心臓センター医療団が北朝鮮を訪問する数カ月前に心臓手術を受ける10人の患者を選抜したが、心臓疾患の状態はもとより、年代や体質もなぜか似通っていた。そして、朝鮮赤十字総合病院は手術前検査を実施し、患者が手術を受けることができるように栄養状態を整えた。
手術は平壌市大同江区域にある金万有(キム・マンユ)病院で行われることになった。金万有病院は朝鮮総連系の金万有氏が寄贈した現代的な総合病院で、北朝鮮最高の医療施設と診断設備を備えている。北朝鮮の医師は、「現代的な医療施設や診断設備を望むなら金万有病院、実力のある医師の治療を望むなら平壌医学大学病院に行くとよい」とアドバイスしている。