夫人からの侮蔑

 そうやって始まった頃は、まだよかった。しかし日が経つにつれて、少しずつ変わっていった。あまりに多くの不公平と侮辱。毎回あなたは私を、あなたの奥さんのところへ行かせるものだから、あなたの奥さんが私に投げつける聞くに堪えない侮辱の言葉、各種の冷笑や熱っぽいあげつらいの言葉を暗記してしまったわ。私が、「アヒルの舌が好物だ」と言ったら、康潔おばさんは私を突っついて言った。「何て気味悪い」。

 私が「冬の北京の大気汚染はひどい」と言ったら、康潔おばさんは言った。「それはあなたたちが住むところの話でしょう。私たちが住むところはそんな感覚ないわ」。こんな話をたくさんたくさんした。あなたが横にいると、彼女はそんなことは言わない。私たちと一緒で、二人っきりでいる時と、他に人が混じっている時とでは、別人格なんだわ。

 私はあなたに言ったことがあったわね、こんな話を聞くと受け入れがたい気持ちになるって。あなたと知り合った日から現在まで、あなたは私に一銭のカネも使ったことがないし、私にどんな便宜も図ってくれたことはない。でも名分というものはとても重要だわ。いま起こっていることの一切が、ざまあみろ、自業自得なんだわ。

 終始一貫して、あなたは私に、二人の関係を一切秘匿するよう命じてきた。あなたと男女の関係になっていることを、私の母親にも告げてはならないと言った。いつも母が車で私を、西什庫教会のところまで送ってくれて、そこであなたの家の車に乗り換えて、初めてあなたの家に入れる。だから母はずっと、私があなたの家に、麻雀をしに行っていると思っていた。

 私たちのこうした生活は、実際の生活の中で透明人間のようなものだった。あなたの妻は、まるで雍正帝の皇后(人気ドラマ『甄環傳』の人物)ね。そして私は、たとえようもないほど惨めな存在だわ。私は常々、《自分は人間だろうか?》と自問していた。まるで自分が生きた屍、歩く肉塊のようだと感じていた。

 毎回、きれいに装う。どの自分が本当の自分だろう? 私はこの世界にやって来るべきではなかったのだ。でも死ぬ勇気もない。何だか言ってることが短絡的みたいだけど。

 でも思っても見なかったけど、(10月)30日の夜、あなたと強く言い争って、あなたは言った。「(11月)2日の午後に、ウチでまたゆっくり話そう」。そして今日(2日)のお昼、あなたは私に電話をかけてきて、「また連絡するから」と言って切った。それっきりだ。「また日を改めて連絡するから・・・」。こう言い繕うのは、7年前と同じだ。

《終わったのだ》。もう遊びたくなんかないし、必要もないのだ。あなたは言う。「私たちは何も取り引きしていない」。その通りだ。私たちの間には、感情も金銭も権力も、何もなかったのだ。