ミャンマー民主化運動のリーダー、アウンサン・スー・チーさん。2012年4月撮影、資料写真(写真:ロイター/アフロ)

 謂れのない複数の容疑をかけられ、軍政の影響下にあるミャンマーの特別法廷に立たされているアウン・サン・スー・チーさんが、10月26日に初めて証言台で発言した。

 当局はスー・チーさんの弁護団に公判の内容に関してメディアなどへの対外発信を禁止していることから、スー・チーさんの証言内容についても一切伝えられていなかったが、27日になって一部メディアが関係者から匿名で得た情報として「スー・チーさんは容疑に関して無罪を主張した」と初めてその発言内容を伝えた。

箝口令が出される中で漏れてきた証言内容

 米政府系ラジオ局「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」は27日、前日の26日に特別法廷で「国民を扇動して社会不安を煽った」という刑法505条違反の容疑に問われているスー・チーさんが初めて証言台に立ったことを伝え、スー・チーさんは「無罪を主張した」と伝えた。

 それよりも早くスー・チーさんが初めて証言したことを伝えたAFP通信などは「証言内容は不明」とし、その理由として弁護団に箝口令が出されているためと説明していた。RFAの報道はそこからさらに一歩踏み込んだ内容だった。

 スー・チーさんは、各国大使館に書簡を送り「軍事政権を支持しないように要請した」ことから扇動罪に問われているウィン・ミン大統領とともに、これまでの公判で弁護団が「無罪」を主張していたが、スー・チーさん自身が証言台で発言したのは今回が初めてだ。そしてその証言内容も、弁護団のこれまでの主張に沿ったものとなったことがRFAの報道で確認されたことになる。