2022年にはインフルエンザを下回る死亡率になっているはず

 ワクチンを2回接種すると、未接種の人よりも感染する確率は10分の1程度まで下がる。この数値は厚生労働省新型コロナウイルスアドバイザリーボード資料として毎週発表されているが、ニュースで聞くことがないのはなぜなのだろう。とても重要な情報で、ワクチンの接種率が上がることで、入院を要する者も減り、重症者数も減り、死亡者数も減っている。

 そもそもワクチンとは、感染症を予防したり、かかった場合に重症化しにくくしたりする効果があるものだ。ワクチンの効果を説明したモデルは「統計データが語る、次のコロナ第6波では死亡者はほとんど出ない」を参照していただければと思うが、第5波が急速に収束し、緊急事態宣言を解除してから1カ月近く経過しているにもかかわらず、いまだに感染者が減少し続けている理由はほぼワクチンで説明がつく。ワクチンを打つことで救われた命は今後も含めて1万人を超えると推定され、その功績はとても大きい。

 日本人は年間138万人が亡くなっている(2019年)。1日当たり3784人にのぼる。新型コロナの10月24日時点での累計死亡者数は1万8191人である。直近365日では1万6474人であり、2019年のインフルエンザでの死亡者数3571の4倍以上なので、対策は必要であったことは間違いない。この他、不慮の事故の代表的なものとして交通事故(4295人)があり、この数字を超えそうな場合は、何らかの対策が必要と言われている。

 前回の予測で書いたように、ワクチンの効果で新規感染者数は10分の1以下になり、第6波の波は小波になる可能性が高い。入院、重症、死亡に至る確率もワクチンが下げるため、今後は死亡者数が増えることは考えにくい。死亡者数は、現在の重症者数である202人を大きく超えないということだ。

 2022年には、インフルエンザをはるかに下回る死亡者数になると考えると、根絶とはいかないものの、気にすべき感染症でもなくなるであろう。スペイン風邪などの回顧録も「2~3年すると、みんな忘れちまった」なんて書いてあるので、その日が近いともいえる。

 もし、感染者が増えるようなことがあっても、ワクチン接種者の抗体検査などの状況を開示しながら、3回目以降のブースター接種を検討すればいいだろう。その際にも、ワクチン接種前と後の違いを統計的に示して、施策に反映させるのは必須だ。

 私たちは100%を求めているのではなく、確実に確率を低くしてくれる方法とその確率が知りたいだけなのだ。もう不要な行動規制は御免こうむりたい。