ジャカルタにある汚職撲滅委員会(KPK)本部(写真:ロイター/アフロ)

 インドネシアの「汚職撲滅委員会(KPK)」は9月25日、与党ゴルカル党所属のアジス・シャムスディン国会副議長を汚職容疑で逮捕した。

 地元紙は、KPKにより汚職犯罪の容疑者として逮捕された場合に着用させられたオレンジ色のベスト姿で手錠をかけられ連行されるアジス容疑者の写真を大きく掲載し、久々の「大物汚職容疑者逮捕」を派手に伝えた。

 9月25日午前零時過ぎに逮捕されたアジス容疑者だが、前日の24日に南ジャカルタの自宅を訪れたKPK捜査員に対しては「コロナに感染し自己隔離中である」として同行を拒否、抵抗した。これに対してKPKは医療チームを自宅に派遣して検査を実施、同容疑者のコロナ陰性を確認したうえでKPKに連行、事情聴取の末に逮捕に漕ぎつけたという。

捜査員に捜査中止を求めて賄賂

 以前からアジス容疑者については、自らの選挙区への予算配分に関して、国会議員で予算委員長という立場を利用して特段の配慮を求め、その見返りとして、地方への特別割り当て基金配分で2017年以降8%の賄賂を要求した疑いがもたれていたのだが、今回の逮捕は、この件について捜査に乗り出そうとしたKPK捜査員に対し、捜査中止を求めて賄賂を渡した贈賄容疑によるものだ。

 アジス容疑者の逮捕はジョコ・ウィドド大統領を支える与党の一角である「ゴルカル党」に大きな衝撃を与えるとともに、国会議員の間にも波紋を広げている。