現場にはすぐにドクターヘリが要請され、札幌市内の病院へ運ばれたが、手術の甲斐なく15時間後に死亡した。
一方、被告も骨折などの重傷を負って入院したが、ドライブレコーダーをコマ送りで見ると、被告のケガは衝突時のものではなく、衝突後の転倒によるものであり、事故のあと友人ライダーに支えられて歩く被告の姿が映っていたという。
異例の「実刑判決」が下された理由
裁判官は事故状況について、判決文に次のように記している。
『現場が片側1車線の見通しのよい直線部分で、日中であったから、通常であれば、追い越しを始めるに際して対向する被害車両を容易に発見できたはずであり、(中略)したがって、被告人が、本件追い越し自体の危険性を、速度はもとより対向車両の有無及び安全確認の面から優に予見でき、事故を回避するため、判示の基本的な注意義務を果たすことも容易であったことが明らかである』
そして、こう断じている。
『被告人は高速度で追い越しを始めるに際し、前記注意義務を怠ったのであるから、その過失の程度は、被害者の落ち度がない中、一方的かつ重大なものである。被害者を死亡させた結果は重大であり、このことは遺族が次々と陳述した心情に関する意見からも推察される』
センターラインをオーバーしてきた大型バイクが、突然、高速で正面から突っ込んでくる・・・、自車線を走っていた被害者にしてみれば、まさに何の落ち度もない、不可抗力の事故だった。