民主党小沢氏がネットテレビに生出演、初恋の話も

「暗いイメージ」一掃?〔AFPBB News〕

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 実際、小沢は自分と異なる意見にも耳を傾け、民主主義的手法を重んじるようになった。自分に反対する者を排除し、何でもトップダウンで物事を決めているわけではない。政策決定に当たっては、民主党伝統の「積み上げ方式」を取らざるを得ないのだ。

 その一方で、小沢は「暗いイメージ」を払拭できない。独断専行、唯我独尊、ものぐさ、秘密主義・・・。例えば、福田康夫前内閣で自民、民主両党の「大連立構想」が挫折した時、小沢は「やってられるか」とぶんむくれて一時は代表辞任の意向を表明。党首として自らの限界を感じたのだろう。何とか説得されて翻意したものの、小沢にとっては最大のピンチだった。

「第7艦隊」発言、民主政権能力に疑問

 今、民主党は政権交代を目前に控え、小沢の下で結束を固めている。反小沢系議員も政権交代を優先し、党内抗争どころではない。「既に政権交代した気分の議員がチラホラいる。こんな状況が恐い」と嘆く党幹部がいるほどだ。

クリントン長官、麻生首相・小沢代表とそれぞれ会談

安保・外交、党内はバラバラ〔AFPBB News

 しかし党の実態は、保守系右派から旧社会党系までバラバラの「寄り合い所帯」。基本政策のマニフェストづくりも遅れている。与党側に真似される事態を恐れ、ギリギリまで曖昧(あいまい)にするというが、実際は党の安全保障政策を1つにまとめるのが至難の業なのだ。

 先月末、小沢が在日米軍に関して「(海軍の)第7艦隊で十分」と唐突に発言したことから、与野党に大きな波紋が広がった。自民党は鬼の首を取ったかのように、「日米同盟にひびが入る」と批判を繰り返している。

 民主党内では、保守系議員から「日本の防衛力強化を目指す方向は同じ」と擁護論が出ているが、「米軍縮小などすぐに実現する話ではない」とこの時期に発言した小沢の真意をいぶかる声も多い。すべては小沢独特の「説明不足」に起因しており、こうした混乱が民主党の政権担当能力に疑問を投げ掛けたのは間違いない。

小沢人気も1割台、麻生支持率並み

 国民新党代表代行の亀井静香は、民主党のことを「丼(どんぶり)の中のおかゆ」と揶揄(やゆ)する。次期衆院選という「丼」がなければ、1つに固まらないというわけだ。何とか1つにまとめてきたのは、結局小沢しかいない。その存在感は党の「重石」となった。

 小沢が何か仕掛ける以前に、自民党のほうが何度も「自殺点」を繰り返している。安倍晋三、福田康夫と頼りない世襲議員が相次いで政権を放り投げ、麻生太郎は度重なる失言や発言ブレで支持率低下に歯止めが掛からない。「高見の見物」を決め込めば、民主党には政権が転がり込んでくる状況だ。

 民主党にとっては、麻生に今辞められて新しい自民党総裁が誕生する事態はまずい。今のまま衆院解散・総選挙に突入したい、それこそが民主党議員の本音だ。

 解散はずるずる引き延ばされ、「7月のイタリア・サミット後」との観測も浮上し始めた。「どんなに支持率が下がっても、麻生は絶対辞めない」(首相周辺)という見方が広がり、民主党がそれを秘かに歓迎している。何ともおかしな政局になってしまった。

 実際、麻生があまりにもお粗末だから、「どちらが首相にふさわしいか」という世論調査では、小沢が麻生をリードしているにすぎない。

 例えば、朝日新聞(2月21日付)の調査によると、小沢45%に対し、麻生19%。産経新聞(2月24日付)でも、「信頼できるのは」小沢43.8%VS麻生23.6%。その一方で、産経調査の「首相にふさわしい政治家」トップは小沢(13.4%)。以下、小泉純一郎(7.9%)、与謝野馨(6.8%)と続くが、最も多い回答は「いない」(26.1%)。

 小沢人気といっても所詮は1割台前半、麻生内閣の支持率程度にすぎない。民主党はこの現実を直視すべきだろう。

 麻生が権力にしがみ付く中、小沢の資金管理団体が西松建設から違法献金を受けていた疑惑が持ち上がり、東京地検特捜部は3日、小沢の秘書を政治資金規正法違反容疑で逮捕した。政界の一寸先は闇・・・。