自民党総裁選に立候補した各氏。左から河野太郎行革担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗・前総務相、野田聖子幹事長代行(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(朝比奈 一郎:青山社中筆頭代表・CEO)

 自民党総裁選が大詰めを迎えています。29日には国会議員による投票と開票作業が行われ、その日のうちに新しい総裁が決定することになります。

 実は、4人の候補のうち、野田聖子さん以外の3人の方には、過去、青山社中フォーラムにご登壇いただきました。お三方とは、その際に対談させていただいたり、また政策づくりの支援をさせていただいたり、あるいは経産省在職中に立ち上げた「プロジェクトK」(新しい霞ヶ関を創る若手の会)の代表をやっていた際からの繋がりがあったりと、これまでそれなりのご縁をいただいています。そこで、直接にやり取りさせていただいた際の私なりのお三方の印象を、以下のようにまとめてみました。

*アイウエオ順。①は全体の印象、②はフォーラム登壇時などのエピソード的印象、③は総理になった場合のイメージ

紳士的で丁寧、安定性なら随一の岸田氏

【岸田文雄さん】

①オールラウンドに政策の細部も良く勉強しておられていて、説明が正確で広汎。人柄的にはとにかく紳士。ただ、よほどその分野に興味を持っていない限り、普通の人にとっては、講演や演説はやや退屈か。話の中にウィットや優れた話術的なものは感じない。基本的に丁寧な話しぶりだが、「サービス精神にあふれる」という点では微妙か。

②青山社中フォーラム時に寄せられた「外務大臣当時に被爆時の広島選出議員でありながら、なぜに核兵器禁止条約に反対しているのか」という質問については、割と分かりやすく苦渋の表情を浮かべながら、丁寧に経緯や想いを説明されていた。とても正直な方なのだと思う。また政調会長室(当時)で会わせていただいた際も、良くも悪くも凄いオーラみたいなものはなく、丁寧な、しかし淡々とした対応だった。

③コロナ対応など、急場に強い印象はないが、岸田派の若手(木原誠二さん、小林史明さんら)がしっかり支えていくイメージはあり、よほどの難題が降りかかってこない限りは、手堅く政権運営をしていくのではないか。めちゃくちゃ人気が上がる、ということはないと思うが、極端に下がることもないイメージ(ただ、コミュニケーション力が高いわけではなく、また「大胆な決断が出来る方」という印象はないので、危機時は別)。