武田晴信像 高野山持明院蔵

(乃至 政彦:歴史家)

武田信玄がもう少し生き存えていたら

 今年、2021年は大永元年(1521)生まれの武田信玄公が生まれて500年である。このため、関連地域でいくらかの盛り上がりを見せているようだ。コロナ禍でなければ、もっと大きく賑わっていただろう。日本史に残る巨大な人物として、本来はもっと顕彰されたいところである。

 その信玄がもし今も生きていたら、当年500歳になる。だがもちろんそれは、望むべくもないことだ。ただ、現実的な話として、あともう数年ばかり生き存えていたら、天下はどうなっていたであろうか。

 わたしは武田家に詳しくないが、いつも上杉謙信ばかりでは気がひける。なので、今回からしばらくは、信玄最後の軍事行動について、読み解きを進めることにしたい。

 今回のテーマは、「戦地禁制」である。