韓国では若いMZ世代が政治でも大きな力を持ち始めた

「36歳、0選候補の圧勝」

 2021年5月28日、韓国の最大野党「国民の力」の代表選挙予備投票。本選進出を決めた5人のトップに立ったのは、国会議員でもない若手候補だった。

 新型コロナウイルス感染症の流行下の韓国でキーワードの一つになっている「MZ世代」が政界でも大きな力を発揮し始めた。

 国会で102議席を占める「国民の力」の代表選で一躍にトップに立ったのは李俊錫(イ・ジュンソク)氏。1985年生まれの36歳だ。

 代表的な女性政治家で党院内代表を務めた羅卿瑗(ナ・ギョンウォン=1963年生)氏や5選議員で当初は最有力と言われた朱豪英(チュ・ホヨン=1960年生)氏などを抑えてトップで本選に進んだ。

10ポイント以上の差

 予備投票は、2つの世論調査会社に委託した一般国民と党員を対象とした世論調査の合計で李俊錫氏の支持度は41%で、2位の羅卿瑗氏(29%)に10ポイント以上の差をつけた。

 まさに突風だった。李俊錫氏とは誰なのか?

 本人の著書や韓国メディアによると、1985年生まれで、証券会社に勤務していた父親の勤務の関係で幼いころ東南アジアにいた経験がある。

 学校の勉強はきわめてよくできたようで、ソウルの超難関校である韓国科学高を2年で「飛び級卒業」し、韓国科学技術院(カイスト)に進学する。

 ところが数カ月で中退し米ハーバード大に進む。韓国政府の奨学金を得てコンピューター科学と経済学を学んだ。

 帰国後、ベンチャー企業の起業を目指すとともに、恵まれない子供たちに勉強を教える団体で活動を続ける。