出漁する中国の漁船団(2016年8月撮影、資料写真、写真:アフロ)

「もう耐えられない。たとえようもない憤怒がこみ上げています」

 こう怒りを露わにするのは、国連海洋法に詳しいアルゼンチン人の大学教授。

 中国は過去何年も、太平洋の反対側の南米沖まで大漁船団を送って違法操業を行っており、一向に止む気配がないことに対する憤りは強い。

 中国漁船団の船舶数が10隻前後であれば問題視されてこなかったかもしれない。

 だが、多い時は300隻を超える船団が操業を続け、南米諸国の漁業関係者が「水産資源が枯渇してしまう」と心配するほどの乱獲を繰り返しているのだ。

 そのため、最近になって再び中国に非難の目が向けられている。

 まず問題になっているのは、国際法違反の行為そのものである。

 国連海洋法条約では、沿岸国は自国の200海里(約370キロ)の範囲内に排他的経済水域(EEZ)を設定することができる。だが中国漁船団は国際法を無視して南米諸国のEEZ内で操業を行っているのだ。

 実はアルゼンチンでは過去、中国漁船団の違法行為に業を煮やし、強硬手段に出たこともあった。

 2016年3月、アルゼンチンの沿岸警備隊が違法操業をしていた中国漁船に発砲して撃沈させたことがある。